僕は幼き頃、物理的な強さに憧れていた。
とても強く。
正月やお盆に、親戚が集まるたびに、
僕は一番、歳が近いおじちゃんに
決闘を挑んでいた。
ただ、おじちゃんは昔、柔道をやっていたので
僕はいつもぶん投げられ、痛くて、悔しくて
泣いたこともあった。
でも、とても好きなおじちゃんだった。
お年玉は少なかったけど。
去年、僕が結婚するときには、
おじちゃんは東京に住んでいたので、
会うことはできなかったが、ご祝儀と温かい手紙をくれた。
そんな、僕の好きなおじちゃんが先日、
56歳(たぶん)で亡くなってしまった。
もう、決闘を申し込むことが、できなくなってしまった。
おじちゃんに勝ち逃げされてしまった。
でも、それでよかったのかもしれない。
もはや物理的な強さなんてどうでもいい。
僕にとっておじちゃんが
かなわなかった人として、永久的に存在し続ければ、
負けずぎらいの僕としては、人間として成長し続けることが
できる気がするのです。
おじちゃん闘病お疲れ様でした。