時は夕刻。歯医者の帰り道をトボトボ歩く。
先ほどまで降っていた雨が空気中の塵を洗い流したおかげで、
空気がとても美味い。
歩道に目をやると、蹴ってくださいと言わんばかりの石ころが
夕焼けのオレンジ色を反射してながらこちらを向いている。
よーし転がしてやろかと、軽く右足を振りかぶる。
が、何かが俺を引き留めた。
何だ?
背後霊か?
何かの虫の知らせか?
誰かの黒魔術か?
或いはありとあらゆる物理学がカオスに突っ込んだか?

カオスか・・・・いや、ウンコだ。

蹴ろうとしていたのは石ではなくウンコだ。

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